「羊をめぐる冒険」の翻訳(112)
1 映画館で移動が完成される。いかるホテルへ(4)映画館を出てから、彼女の肩を抱いて夕幕の街を散歩した。僕と彼女は以前より親密になれたような気がした。通りを行く人々のざわめきは心地よく。空には淡い星が光っていた。
「私たち、本当に正しい街にいるの?」と彼女が訊ねた。
僕は空を見上げた。北極星は正しい位置にあった。しかしどことなく偽物の北極星みたいにも見えた。大きすぎるし、明るすぎる。
「どうだろうね」と僕は言った。
「何かがずれているような気がするの」
「はじめての街というのはそういうものなんだよ。まだうまく体がなじめないんだ」
「そのうちになじめるかしら?」
「たぶん二、三日でなじめるようになるよ」と僕は言った。
我々は歩き疲れると目についたレストランに入り、生ビールを二杯ずつ飲み、じゃが芋と鮭の料理を食べた。でたらめにとびこんだわりには料理はなかなかのものだった。ビールは実に美味しかったし、ホワイト?ソースはさっぱりとしてしかもこくがあった。
「さて」と僕はコーヒーを飲みながら言った。「そろそろ泊まる場所を決めなくちゃね」
「泊まる場所についてはイメージできてるの」と彼女は言った。
「どんな?」
「とにかくホテルの名前を順番に読みあげてみて」
僕は無愛想なウェイターに頼んで職業別電話帳を持ってきてもらい、「旅館、ホテル」というページを片端から読みあげていった。四十ばかりつづけて読みあげたところで彼女がストップをかけた。
「それがいいわ」
「それ?」
「今最後に読んだホテルよ」
「ドルフィン?ホテル」と僕は読んだ。
「どういう意味」
「いるかホテル」
「そこに泊まることにするわ」
「聞いたことがないな」
「でもそれ以外に泊まるべきホテルはないような気がするの」
僕は礼を言って電話帳をウェイターに返し、いるかホテルに電話をかけてみた。はっきりしない声の男が電話にでて、ダブルかシングルの部屋なら空いていると言った。ダブルとシングル以外にどんな部屋があるのか、と僕は念のために訊ねてみた。ダブルとシングル以外にはもともと部屋はなかった。少し頭が混乱したが、ともかくダブルを予約し、料金を訊ねてみた。料金は僕が予想していたより四十パーセントも安かった。
从电影院出来,我搂着她的肩在傍晚的街上散步。和以前相比,我和她更亲密了。通过大街的人们的嘈哚声倒很舒畅,天空中有几个淡淡的星星在闪着光。
“我们真的是在要去的地方吗?”她问。
我抬头望星空。北极星在正确的位置上。但是总觉得那北极星看上去象是假的。超大,超明亮。
“这是怎么回事呢?”我说。
“觉得有什么东西要离开似的。”
“刚开始接触的地方都会是这样吧。身体还没有完全适应。”
“不知道能否适合其中。”
“大概二、三天后就会适应的。”我说。
我们走累了的时候就去了眼前的西餐馆,每人喝两杯生啤,吃了芋头和三文鱼。不正常地突然来到的情况下其菜却很地道。啤酒倒很可口,白色的调料很整洁而且味道浓烈。
“那么,”我一边喝着咖啡说。“该马上确定住所了。”
“关于住所通过印象即可来决定。”她说。
“你说什么?”
“按顺序读读宾馆的名字。”
我让不热情的服务员把职业类别的电话本拿来,从“宾馆”那一页的开始读了起来。连续读到四十个的时候,她让停止了。
“这个不错。”
“哪一个?”
“现在最后读的宾馆。”
“ドルフィン宾馆。”我读到。
“那是什么意思?”
“海豚宾馆的意思。”
“那就住在那里吧。”
“也没有听说过呀。”
“可是除这个之外,其他也没有能住的宾馆。”
我说声谢谢把电话本退还给服务员,然后给海豚宾馆打了电话。声音不清楚的男的在电话中说,若是双人间和单人间的房子还空着。我特意问:除双人间和单人间之外还有什么样的房间?除双人间和单人间之外再也没有其它房间。脑子有点乱,就予约了双人间,问了一下价格。价格比我预想的要便宜40%。
主人公要住的宾馆是什么样的宾馆呢?在那里会发生什么故事呢?
请看下回。